むかしむかしの映画と音楽

むかしなつかし思い出いっぱいの映画と音楽を紹介してゆきます。

2015年10月

番外編 150年前の日本の姿

 1891年トーマス・エジソンによって発明されたキネトスコープが映画の起源であるが、それを用いて1896年(明治29年)当時西洋技術の最先端あった映画が、日本で最初に上映された。

 日本人による映画撮影としては、1898年(明治31年)の浅野四郎による短編映画『化け地蔵』『死人の蘇生』に始まり、翌1899年(明治32年)には『芸者の手踊り』が東京歌舞伎座で公開された。

 では写真はどうかといえば、1854年(嘉永7年、安政元年)に外国人の手で浦賀奉行所与力の田中光儀を撮影した写真が、現存する最古の写真である。撮影したのは浦賀に上陸したペリー艦隊に同行していた写真家、エリファレット・ブラウン・ジュニアであった。 
 当時のカメラの技術精度から、1つの被写体を撮影するまで静止状態で数十分かかったため、この後も多くの写真が残されている訳ではない。

 しかし、いつ撮影されたかを厳密に特定はできないが、明治維新から明治初期位までの写真が確かに残っている。それを見てみよう。彩色は、これらが外国人へのおみやげとして販売されたもので、手塗りであったためである。中には、1950年に放火により焼失する前の貴重な鹿苑寺金閣の写真もある。






1021615
※画像はフリーを使用しています。




 

東京行進曲

映画「東京行進曲」の主題歌




無声映画「東京行進曲」



1929年(昭和4年)公開
制作:日活
監督:溝口健二
原作 :菊池寛
脚本:木村千疋男
出演者:夏川静江、一木礼二、高木永二、入江たか子他
主題歌:佐藤千夜子(作詞:西條八十、作曲:中山晋平)


名曲である。
日本の映画主題歌の第1号である。発表されて86年経つ今も、曲名を知らなくてもどこかで聞いた覚えがあるという方が多いかと思う。有名な歌詞の「昔恋しい銀座の柳、仇な年増を誰が知りょ」は、西條八十の名作詞である。

また名作でもある。 
この菊池寛原作の小説は、当時の発行部数100万部を誇った国民的雑誌『キング』に連載された名作でもある。

さらに無声映画ではあるが、関東大震災から復興し、東京大空襲でほとんど消失してしまう昭和初期の東京の繁栄した姿が端々に出てくる、大変貴重な映画のひとつでもある。
 



 

実写版 鉄腕アトム

実写版 鉄腕アトムの歌



1959年3月7日~ 1960年5月28日(65回)
制作局:毎日放送
監督:吉川博、志波西果、大橋秀夫、難波敏夫
特撮:加藤守男、山根茂幹、山崎明、円谷特技研究所
特撮監修:円谷英二 
原作 :手塚治虫
脚本:渋谷五十八、岩田重利、コオロギハルヲ、宮川一郎、坂巻昇、志波裕之
出演者:瀬川雅人、田中明夫、清水金一、若原春江他
主題歌:中島そのみ(第1部)、伊藤武雄(第2部 から 第4部)、上高田少年合唱団

制作は松崎プロダクション。

放送内容は、5部全65話
第1部「 ZZZ団」(全13話)
第2部「メキシコへ行く」(全13話)
第3部「フランケンとアトム」(全13話)
第4部「アトム火星に飛ぶ・火星探検」(全13話)
第5部「気体人間」(全13話)
 
スポンサーは、ロッテ。

 鉄腕アトムといえば我々世代には、後のアニメ版よりこちらの実写版アトムのほうが主題歌も含めて印象に残っている。特に主人公のアトム役の瀬川雅人は、非常に愛らしく視聴者からも女の子だと思われていたふしがある。

 ストーリー自体は、原作には忠実でなく、特撮や役者、費用の都合でまったく違ったものになっている。その点で、原作者の手塚治虫は制作側に何度もクレームをのべている。

 アニメ版鉄腕アトムが放送されるまで、実写版アトムは何度か再放送されているが、全65話中7話のフィルムがすでに失われている。




 

新諸国物語 紅孔雀

映画「新諸国物語 紅孔雀」予告編



公開:1954年(昭和29年)12月~1955年1月
製作:東映京都
監督:萩原遼
原作:北村寿夫
脚本:小川正
出演:中村錦之助、東千代之介、月形龍之介、大友柳太朗、田代百合子、高千穂ひづる他 


 映画「新諸国物語 笛吹童子」の大ヒットを受けた東映は、同年(1954年)の年末・正月(1955年)映画として全5部作、第1編 那智の小天狗 (1954年(昭和29年)12月公開)、第2編 呪いの魔笛(1955年(昭和30年)1月公開)第3編 月の白骨城、第4編 剣盲浮寝丸、完結編 廃墟の秘宝 を公開、前作以上のヒットを成し遂げた。
スタッフ、出演者の大部分を温存した事もこのヒットの大きな要因であった。

 この後「新諸国物語 笛吹童子」同様、テレビ時代劇化が1970年から1971年にかけて行われている。 

 また、主題歌(作詞:北村寿夫、作曲:福田蘭童、歌:井口小夜子)も「新諸国物語 笛吹童子」同様覚えていらっしゃる方が多い事と思う。



 

新諸国物語 笛吹童子

映画「新諸国物語 笛吹童子」主題歌と作品の一部



公開:1954年(昭和29年)4月
製作:東映京都
監督:萩原遼
原作:北村寿夫
脚本:小川正
出演:東千代之介、中村錦之助、月形龍之介、大友柳太朗、田代百合子、高千穂ひづる他


 北村寿夫の原作である新諸国物語は、当初NHKでラジオドラマとして1952年から1960年まで放送された。
 白鳥の騎士(1952年放送)、笛吹童子(1953年1月5日~12月31日放送)、紅孔雀(1954年1月4日~12月31日放送)、オテナの塔(1955年放送)、七つの誓い(1956年1月2日~12月31日放送)、天の鶯(1959年放送)、黄金孔雀城(1960年放送)である。
また、番外編として風小僧、霧の小次郎、三日月童子が制作された。

 この中でも特に人気の高かった白鳥の騎士、笛吹童子、紅孔雀が、早くから小説化、映画化された。
 
 映画「新諸国物語 笛吹童子」は、中村錦之助の初主演作品としても注目される。全三部作第一部『どくろの旗』、第二部『妖術の闘争』、第三部『満月城の凱歌』 として3回に分けて上映された大作であった。

 後にも 1960年・1972年テレビ時代劇化、1977年人形劇化されている。

 注目されるのは主題歌(作詞:北村寿夫、作曲:福田蘭童)が、すべての作品に共通することである。ストーリーは覚えていなくても、この主題歌を覚えている人は多いことと思う。 

 
 

 
プロフィール

懐古堂九郎

にほんブログ村
最新コメント
楽天市場
カテゴリー
  • ライブドアブログ